学校であった怖い話
>六話目(細田友晴)
>A1

◆五話目で福沢が消えている場合の始まり方


初めまして。
僕の名前は細田友晴といいます。
二年生です。
……ついに、七人目は現れませんでしたね。
どうやら、僕の話が最後のようですし、ちょっと気分を盛り上げるために場所を移動しましょうよ。

これだけ待って来ないんですから、もう七人目は来ないでしょう。
ここを離れても大丈夫だと思うんです。
さあ、皆さん。
僕についてきてください。

……この集まりは、旧校舎が取り壊されることを記念して持ち上がった企画ですよね。
だから、旧校舎で話をしようと思うんですよ。

せっかくですもんね。
今は立ち入り禁止ですけれど、そっと忍び込めばわからないでしょう。
それに、僕が話すのは、この旧校舎にまつわる話ですから。

……さあ、旧校舎です。
皆さん、覚悟はいいですか。
この中の、ある一つの教室に行きますから。
……暗いですね。
電気が通ってないから仕方ありませんね。

足もとに気をつけてください。
結構、床が腐ってますから。
床を踏むと、嫌な音がしますね。
きぃきぃきぃきぃ、怨念が泣いているみたいですよ。

……さあ、つきました。
この教室です。
皆さん、どうぞ。
中に入って、適当に座ってください。
それでは、皆さん、話を始めましょうか。

坂上君は、この旧校舎にまつわるトイレの怪談を知っているかな?
トイレの怪談には、有名なものが多いよね。
「紙をくれ〜」
といいながら便器の中から出てくる青白い手の話。

汲み取り式のトイレの便器から覗く、ギロリと光る二つの赤い目の話。
……いろいろあるよね。
でも、もっとも有名なのは、やっぱり花子さんじゃないかな。

ドアをノックすると、誰もいないはずのトイレの中から、花子さんの声が聞こえてくる。
そして、ドアを開けると、そこに花子さんの姿が……。

花子さんの話は、名を変え、姿を変え、全国に散らばっている。
性別も違うし、名前も違う。
どうして出るのか正体や原因がわかっているのもあれば、謎に包まれているのもある。
ただ、みんな共通しているのは、トイレに出るということさ。

トイレに出る不思議な霊の存在を、そうして花子さんと呼んでいるんだよ。
そして、当然のようにこの学校にも花子さんの噂はあるんだよ。
で、これから僕たちでその花子さんを呼び出す実験をしようというのが、僕の提案なんだけど。

……どうかな、坂上君?
君、やってみないかい?
1.やってみる
2.いやだ