学校であった怖い話
>七話目(新堂誠)
>15F7

僕は、ノートを開いてみた。
そこには、日野や新堂のたあいもない愚痴が書かれていた。
コーヒーをこぼされた。
犬に吠えられた。
靴を隠された。
くだらないギャグをいった。

突然、肩をたたかれた。
眠いのにうるさかった。
笑い方が下品だった。
謝らなかった。
貸したお金に利子がついてなかった。
ノートを写させてくれなかった。

……そんなくだらない内容と一緒に、何人もの名前が書かれていた。
処刑リスト……。
僕は、息をのみ、ページを読み進めた。
……あった。
一番最後に僕の名前。
そして、一緒にこう書かれていた……。

よお、坂上。
お前が新聞部に戻ってくると思って、このノートを棚の中に置いていってやる。
見つけたら、よく読め。
俺たちが今までに殺してきた罪人たちだ。
お前が、殺される理由は、多大だ。
死刑になってもおかしくない罪を犯した。

罪状は次の通り。
風間のズボンに水を跳ねた。
新堂が呼び止めたのに無視した。
荒井が電車で立っていたのに、席を譲らなかった。
岩下のことを見て笑った。

お前が買った分で食堂のカレーは売り切れになり、細田は食べることができなかった。
福沢は、お前の吐き捨てたガムを踏んだ。
そして、俺の親父は、お前の親父と同じ会社に通っている。
そこでお前の親父が昇進したために、俺の親父は昇進できなかった。

だから、お前は死に値する。
日野。
……僕は最後のページをめくった。
ノートの一番最後には、こう書いてあった。
この世を楽園とするために選ばれた人間たちの集団。

殺人クラブ……と。
殺人クラブだって?
そんなクラブ聞いたことない。
こいつら全員、殺人クラブのメンバーなのか?

僕は、ノートを投げ捨てた。
血の海に落ち、ノートはベチャと音を立てた。
……疲れた。
時計を見ると、残された時間はあとわずかしかない。

……どうする。
僕は、まだアンプルを捜す気力があるんだろうか?
あの、殺人クラブの連中を相手にして。
1.ここで負けちゃならない
2.もう、どうでもいい