学校であった怖い話
>七話目(新堂誠)
>1G2

「いらないね。そんなもの!」
僕は顔を背けた。
「強気だね。かっこいいなあ」
おどけた日野さんの口調に、誰かがクスクスと笑った。

「それじゃあ、死ねば」
岩下が冷たくいい放った。
なんて顔で、僕を見るんだ。
それは、人間を見る目じゃないぞ!?
「やだ、そんなの困るぅ」
福沢が口をとがらせる。

「そうだったな。そんなにアッサリ死なれても、つまらんしな」
これが日野さん?
僕たち一年生を、丁寧に指導してくれた、あの日野先輩だっていうのか!?
まるで別人のように、その目が、冷ややかに光った。

「それじゃあ、こうしよう。おまえがもし、このゲームに負けて死んだら俺はおまえの家に行くよ」
……何だって?
顔を上げた僕に、ニヤリと笑いかける。

「部活の先輩だといえば、きっとお茶の一杯も出してくれる。そうしたら俺は、隙を見ておまえの家族の茶碗に、おまえに飲ませたのと同じカプセルを入れてやるよ」
「な……なんてことをっ!」

僕は思わずわめいた。
「おまえが死んだら、今度はおまえの家族を殺すってこと。いいアイデアだろう」
笑っている。
日野は、楽しそうに笑っている。

こんなにも、他人を憎いと思ったのは、初めてだった。
「さあ、この解毒剤がほしいよな?」
僕は、吐き捨てるようにいった。

「……い、いただけませんか日野様」
彼らは、顔を見合わせて、笑った。
……ふざけるな!
何で、僕がこんな目にあわなきゃならないんだ!
「ひゃっはっは。よしよしいい子だ。
人間は、素直でなくちゃいけないよな。そんなにほしいんだったら、俺の靴をなめてみろ」

そういうと、日野さんは汚れた靴を僕の頭の横に乗せた。
なんという屈辱……!
でも、逆らうと……。
1.靴をなめる
2.いくらなんでもそれはできない