学校であった怖い話
>七話目(荒井昭二)
>D9

◆1回目

僕は、岩下さんのところに行くことにした。
教室を捜し当て、中を覗くと岩下さんは机に手をついてぼんやりと何か考え事をしていた。
「岩下さん!」
僕が声をかけると、岩下さんはゆっくりと振り向いた。

そして、あのぞくっとする薄気味悪い笑顔を浮かべ、僕を手招きした。
僕は、彼女の側に立つと小声でささやくようにいった。
「……あのう、荒井さんのことなんですけれど」

「人形の話?」
岩下さんが人形の話を切り出すということは、やはり僕の夢ではなかった。
岩下さんは、荒井さんの話を聞いていたのだ。

「いえ、それよりも、さっき日野さんに聞いたんですけれど、どうも、荒井さんて呼ばれていないらしいんですよ。それ以前に、そんな人は知らないっていうんです」
僕は、岩下さんの反応に期待したが、至って平静で驚きもしなかった。

「あら、そう。それでもいいじゃないの。私は、ずっと人形を見ているから」
「え!?」
「この世は人形だらけ。私以外は全部、人形よ。あなただって、人形だわ。……ほら、あなたの後ろにも人形がいる」

僕は、ぎょっとして振り向いた。
昨日の帰りの記憶が、まざまざと蘇ったのだ。
僕の後ろには誰もいなかった。
ほっとして再び岩下さんに目を向けると、彼女は小悪魔のように笑っていた。
彼女の話はどこまで本気なのかわからない。
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◆2回目

やめよう、今あの人のところにいったら嫌な気分になるだけだ。
ほかを当たろう。
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