学校であった怖い話
>七話目(細田友晴)
>AY7

僕は、受話器を取った。
「……もしもし、坂上です」
「あ、坂上君? 僕だよ」
「は?」
やけに馴れ馴れしい声だった。
いったい誰だろう。
「やだなあ、もう忘れちゃったのかい。さっきまで一緒だったじゃないか」

「あ! 細田さん」
「いやあ、覚えていてくれたんだね。
嬉しいよ。実はちょっと相談があるんだよ。聞いてくれるかい?」
「え、ええ……」
「ありがとう。君なら、絶対に聞いてくれると思ったよ。さっきの黒木先生の話、覚えてるだろ?」
「はい」

「僕さあ、家に帰ってもあの壁のことが気になってしょうがないんだ。
先生の話は、本当だったのかなあ」

……わざわざ、細田さんはそんなことをいうために電話をかけてきたんだろうか。
それに、どうして僕の電話番号を知っているんだろう。
僕は教えてないはずだ。

「……もしもし? もしもし? どうしたの?
聞いてる?」
「え、あ、はい」
「それでね、こんなこと頼みづらいんだけれど、どうかな? これから一緒に、あの壁の向こうを確かめに行かないかい?」
「え! これからですか?」

いったい、この人は何を言い出すんだろう。
もうすぐ十一時だというのに、これから学校に行くなんて……。

どうしよう。
なんて答えるか?
1.明日にしましょう
2.悪いけれど、僕は興味ありません
3.わかりました。今から行きます