学校であった怖い話
>七話目(岩下明美)
>L7

このまま、岩山を見捨てて逃げるわけにはいかない。
俺は、そのゼリー状の塊から、力任せに岩山を引っぱり出した。
ズボズボという音と共に、岩山は塊からひっこ抜けたんだ。

俺はもんどりうって倒れた。
その、薄桃色のゼリー状の塊は、ほのかに発光して辺りを怪しく照らしていた。
でも、俺たちはそれどころじゃないさ。
岩山を担いで、その辺をぶつかりながらやっと外に出たんだ。

そして、岩山の口の中やのどに入った塊をたたき出したよ。
すると、ゴホゴホ咳き込みながら正気を取り戻したんだ。
その日は、俺たちもさすがにげんなりしてさっさと家に帰ったんだ。
あの変なゼリー状の塊は、なんだったんだろう?

いや、あれは単なる研究過程の一環だ。
きっと、あんなものよりもっとすごい物があそこには隠されているはずだ。
俺は、白井があそこでなにかを飼っているような気がしてならなかった。

赤ん坊の泣き声と、水の揺れる音……。
それだけしかわからないけれど、絶対に何かあるぜ。
ちょうど一週間前に、俺が体験したことさ。

……なんだ?
みんな、期待を裏切られたような顔をしてるな。
安心しろよ。
まだ、話は終わったわけじゃない。
お楽しみは、最後に取っておこうと思っただけだよ。

俺が、一週間前の今日、忍び込んだという意味がわかるか?
そう。
今日もまた白井が休んでいる日なんだよ。
それで、俺はこの話を完璧なものにするために、岩山と一緒にもう一度あの倉庫に忍び込もうと考えた。

けどな、岩山の姿が見当たらないんだ。
一緒に行こうって約束したんだけどな。
あいつ、行きたくなさそうな顔をしていたし。
どうも、逃げちまったようなんだ。
……さあ、けれどそのおかげでお楽しみが増えたんだぜ。

俺のいっている意味、わかるよな。
この学校、最大の謎と俺が確信する、科学準備室の倉庫。
そこにあるものは何か?
謎の赤ん坊の泣き声と水音の正体は?

……どうだ?
これから、みんなでその正体を確かめに行かないか?
それが、俺の用意した話なのさ。
坂上。
お前に任せるぜ。
行くか、行かないか、決めてくれよ。

ただし、こんなチャンス二度とないってことだけは忘れないでくれよな。
1.行く
2.行かない


◆最初の選択肢で「5.最後の残り物」を選んでいる場合の選択肢
2.行かない