学校であった怖い話
>隠しシナリオ2(田口真由美)
>T3
うーん。
やっぱり、断わろう。
あの人、変な上にいじわるだしさ。
いつも、人にいやな取材を押し付けるのよね。
坂上先輩も一年の時に、そうされたらしいわ。
だから、今度は自分が後輩をいじめる番だって考えてるみたいなの。
心が狭いわ。
先輩、部室で待ってるっていってたな。
しょうがない。
断りに行こっと。
「坂上先輩! すみませーん」
「やあ、田口さん」
「あの、実は私……」
「わざわざ呼び出したりして悪かったね。
まあ、座ってよ。
あのさあ、もうすぐ第二体育館が完成するのは知ってるだろ?」
……ちょっと待ってよ。
私、先輩と話をする為に来たんじゃないのよ。
「それでね、田口さん。
第二体育館の完成を記念して、学校の七不思議の特集をしたいんだよ」
「え、学校の七不思議ですか?」
……う、しまった。
先輩の話なんか聞くつもりなかったのについ返事をしてしまったわ。
「田口さん。あの第二体育館ができる前、あそこに何があったか知ってる?」
……聞いたことあるわ。
確か、あそこにあったのは……。
うっ、だめよ、だめ。
坂上先輩のいうことなんか聞いちゃだめ。
…………。
でも……。
何だか、おもしろそうな話じゃない?
ちょっと、話にのってもいいかな。
そのうち、私を部長にしたい、なんて話になるかもしれないし。
えーと。
確か、第二体育館が建つ前にあったのは……。
「わからない? 旧校舎だよ」
ああそう、旧校舎だったわ。
「旧校舎は、今から二年前の夏に取り壊されたんだ。あそこは、すごく霊現象の多い所だったんだけど……」
坂上先輩、得意げに話してる。
なんか、笑っちゃうなあ。
「田口さん、なにがおかしいの?」
「あ、いえ……」
……田口さん。
笑いごとじゃないんだよ。
これは、大変な話なんだ。
旧校舎を取り壊したら、出てきたんだよ。
白骨が、ごろごろとね……。
それで、いろいろな噂がたったよ。
旧校舎の下には防空壕があったとか、あの辺りには戦死者の死体がたくさん埋まっていたとかね。
……それから、こんなこともあった。
旧校舎を取り壊した時、事故がたくさん起きてね。
白骨死体の呪いだとかいって、かなり大がかりなお祓いをしたんだよ。
その頃僕は、学校の七不思議について、記事を書くことになっていてさ。
当時、僕の先輩の日野さんという人に、学校の七不思議に詳しい人達を集めてもらったんだよ。
いろいろ話を聞くうちに、僕もこの学校にまつわる怖い話をたくさん知った。
けど、その企画は結局『旧校舎から出てきた大量の白骨死体の謎!』というものに変わってしまったんだ。
まあ、仕方ないよね。
単なる噂話よりも、現実に起こった出来事のほうがインパクト強いしね。
君も覚えてるんじゃないか?
あの事件は、警察も来たし、新聞にも載ったからね。
その時の校内新聞の記事は、僕が担当したんだけどさ。
すごく評判がよかったよ。
けど、僕は残念でね。
あの企画はボツになってしまったからね。
もともとは、僕の企画じゃないのにさ。
部長の考えた企画なのにね。
なぜか、すごく残念だった。
不思議なもんさ。
僕は、あの企画を押しつけられたとき、すごくいやな気持ちだった。
できることなら、やりたくなかったんだ。
それほど、怖い話が嫌いだったわけさ。
なのに、今はどうだ。
自分から進んでやりたくて、たまらなくなっている。
それで、僕は考えたんだよ。
あの旧校舎の跡地に第二体育館が建った時、今度こそ、この企画を実現させようとね。
そこで、どうだろう?
君にその大役を任せたいんだ。
どうかな?
やってくれるかい?
1.やります
2.遠慮します
3.どうして先輩はやらないんですか?