晦−つきこもり
>二話目(山崎哲夫)
>A2

な、あるよな!
みんな誰しも、子供の頃は、自然の中を走り回るのが好きなんだ。
自分も、そんな中の一人だったよ。
特に好きだったのは、森とかの中を探険することだったんだ。

子供の自分にとっては、家の裏にある小さな森でさえ、未知のジャングルのようなものだったよ。
そこで、いい場所を見つけたら、『秘密基地』を作るんだ。

そこは、自分だけの隠れ家だ。
そこに自分の宝物を、隠したりしてな……。
普通、子供達は、こんな基地を作ったら、友達と共有しているものなんだがな。
自分は、違ったよ。
どんなに親しい友達にも、この基地のことは内緒にしていた。

自分のは、本物の秘密基地なんだ。
大体、男というものは、群れて行動するものではない。
男は、いつも一匹狼なのさ。
な、わかるだろ? 良夫君。

「俺は、友達と遊ぶ方がいいな。
だって、その方が楽しいじゃん!
あ、もしかして、哲夫おじさんって、友達がいなかったんじゃないの?」
あ……、哲夫おじさんの拳が震えてる……。
図星だったのかしら……。

いやぁ、懐かしい……。
森の中の『秘密基地』……。
そこに冒険家『山崎哲夫』のルーツがあるわけだな。
実はな、この前久しぶりに、森に入ったんだ。
これは、その時の話でな……。

自分は、いつもよく行動を共にするやつら三人と一緒に、ある片田舎の町に行ったんだ。
どうして、そんな片田舎に、冒険家が集まったか……。
葉子ちゃんは、どうしてだと思う?
1.冒険家仲間の慰安旅行
2.冒険に行った