晦−つきこもり
>二話目(山崎哲夫)
>Z7

ちょっと待てよ、葉子ちゃん!
駄目だっていっただろ?
友達は、見捨てちゃいけないよ。
………………………………。
ふ〜ん、葉子ちゃんって、そういう女の子だったんだ……。
そうか、そうか……。

まあ、自分も人のことはいえないけどな。
実はな、自分らもそいつを追いかけていかなかったんだよ。
でも、葉子ちゃんと違って、自分の意志でいかなかったんじゃないぞ。
本当のことをいうとな、怖くて追いかけることができなかったのさ。

だってさ、さっきまで、普通にしていた奴がだよ。
急に、訳の分からない行動をしたんだぞ。
怖いよな、普通。
だから自分らは、しばらく様子を見ることにしたんだよ。
そいつは、ふらふらと何かを探すように、歩いていったんだ。

本当に、ちょっと目を離した隙だった。
そいつは、どこかに行ってしまって、いくら見回しても、見えなくなってしまったんだ。
自分らは、あわててそいつが歩いていった方を、捜してみたよ。
でも、その必要はなかった。

そいつが、木の陰から姿を現したんだ。
「おい、どうしたんだ、急に」
そいつに仲間の一人が、聞いてみた。
「……ん? ちょっとな」
そいつは、話をごまかすだけだった。

もっと、追求してみるか……。
1.もっと追求する
2.もうしばらく様子を見る