晦−つきこもり
>二話目(山崎哲夫)
>AE2

え? ないの? ほんとに?
正直にいってみなよ。
何も恥ずかしくないからさ。
……あ、そう。
ないんだ。
ふ〜ん……。
ねぇ、ほんとは、あるんだろ?
………………………………。

……まあ、いいや。
自分が葉子ちゃんぐらいの時には、森の中なんかによく探険に行ったものさ。
そして、その森の中に『秘密基地』を作るんだ。

そこは、自分だけの隠れ家だ。
そこに自分の宝物を、隠したりしてな……。
普通、子供達は、こんな基地を作ったら、友達と共有しているものなんだがな。
自分は、違ったよ。
どんなに親しい友達にも、この基地のことは内緒にしていた。

自分のは、本物の秘密基地なんだ。
大体、男というものは、群れて行動するものではない。
男は、いつも一匹狼なのさ。
な、わかるだろ? 良夫君。

「俺は、友達と遊ぶ方がいいな。
だって、その方が楽しいじゃん!
あ、もしかして、哲夫おじさんって、友達がいなかったんじゃないの?」
あ……、哲夫おじさんの拳が震えてる……。
図星だったのかしら……。

いやぁ、懐かしい……。
森の中の『秘密基地』……。
そこに冒険家『山崎哲夫』のルーツがあるわけだな。
実はな、この前久しぶりに、森に入ったんだ。
これは、その時の話でな……。

自分は、いつもよく行動を共にするやつら三人と一緒に、ある片田舎の町に行ったんだ。
どうして、そんな片田舎に、冒険家が集まったか……。
葉子ちゃんは、どうしてだと思う?
1.冒険家仲間の慰安旅行
2.冒険に行った