晦−つきこもり
>二話目(鈴木由香里)
>J7

知らない?
平安時代の京都に現れた、絶世の美女の話。
玉藻前っていう美しい女性に、時の権力者が夢中になり、政治をおろそかにするようになったんだって。
そういう女性を、国が傾くって書いて、傾国の美女っていうんだよ。

エジプトのクレオパトラや、中国の陽貴妃が有名じゃん。
で、この玉藻前の場合は、国のことを案じた臣下の者たちが先手を打ったから、日本は傾かずにすんだんだって。
玉藻前の正体は、中国から渡ってきた妖狐だったのさ。

九尾の狐っていえばわかる?
数々の悪事を重ねて来た妖狐も、ついには那須野ヶ原で退治され、大きな石に姿を変えたとか。

その石からは、常に毒気が吐き出され、周囲は草も生えない枯れ野になった。
おまけに、近付く虫や鳥や人までをも、死に至らすっていうことで、殺生石って呼ばれるようになったんだって。

まぁ、ここまで大袈裟な話じゃないんだけどさぁ、よっちゃん屋敷に現れた災いの女は、玉藻前のような魔女だったのさ。
彼女の目的は一つ、よっちゃん屋敷の財産を食らいつくすこと。
これ以外には、考えられないな。
その頃の、お屋敷の家長は、気丈な婆さんだった。

夫を早くに亡くし、以来、一人で子供たちを育て上げ、よっちゃん屋敷を守ってきたっていう、なかなかしっかりした女性だったよ。

葉子はさぁ、妖怪や、魔女が屋敷に入り込む時に、どういう手段を使うと思う?
1.家の人間と入れ代わる
2.旅人のふりをする
3.わからない