晦−つきこもり
>二話目(鈴木由香里)
>K8

そうなんだ。
かっちゃんは、インコの屍骸を大事そうに抱えて、母親のところへ走って行ったんだ。
もちろん、私も後をつけたよ。
かっちゃんの母親……、この人も、とんでもない化け物なんだけどさぁ、さすがに大人だね。

なかなかしたたかで、めったにぼろを出さないんだ。
……それだけ恐ろしいってことなんだけどさ。
母親は、ちょうど庭にいたよ。
彼女は、かっちゃんの手の中のインコの屍骸を見ても、顔色一つ変えなかったし、

「いったい誰の仕業?」
って声も、極めて冷静な響きだった。
「僕がやったの」
かっちゃんの返事も、いやに素直だったよ。
全然、悪いと思ってないんだよね。

無邪気っていうと、可愛いような気がするけどさ、恐ろしいものでもあるってことを、覚えておいた方がいいよ。
子供が事件を起こしたってさぁ、善悪の区別がなきゃ、反省させたって意味ないし。
なんてったって、未成年だからさ。

相手が子供じゃ、こっちが悪者になっちゃうじゃんよ。
あのさぁ、葉子……。
いくら子供とはいえ、小さな命を奪ったんだよ。
こんな時、母親ってどんな反応を見せるのかなぁ。

私ってさぁ、子供嫌いじゃん。
だから、母親の感覚っていうのが、わかんないんだよね。
どう思う?
葉子が、かっちゃんの母親だったら、どういう反応を示すの?
1.かっちゃんを叱る
2.かっちゃんを誉める