晦−つきこもり
>三話目(山崎哲夫)
>O6

自分もそうした。
もう子供じゃないんだしな。
いちいちそんなことまで、いわなくてもいいだろうって思ったんだ。
そうしているうちに、自分はいつの間にか眠りに落ちていた。
しばらくは眠っていたんだけどな。

また目が覚めてしまったんだよ。
あいつら、まだ起きてるのか……。
そう、外からはまだ話し声が聞こえてくるんだよ。
まったく、しょうがない奴らだ……。
そう思った。

でもその時、ふとしたことに気がついたんだよ。
自分らはな、男ばかりできていたんだがな、聞こえるんだよ、女の人の声が。
話している奴の中に、女の人が混じっているみたいなんだ。

はじめはせせらぎの音のせいで、そういう風に聞こえるのかなって思っていたんだけどな。
そうじゃないんだよ。
絶対に、女の声なんだ。
まさか、こんな山の中に自分ら以外の人がいるとは思えないしな。

そうなると、そこにいるのは……。
もう自分は怖くなってな。
耳をふさいで、布団の中に潜りこんだよ。
するとな、ぴたりとその話し声はやんだんだ。
耳をふさいだから聞こえなくなったんじゃないぞ。

その声だけがな、ぴたりとやんだんだ。
自分は、気味が悪くてな。
早く寝てしまおうと思ったんだ。
するとな、葉子ちゃん!
クスクスと、人の笑う声が聞こえ始めたんだよ、自分のすぐそばで!!

自分は、テントの入り口の横に寝ていたんだ。
その入り口のところで、誰かがのぞいて、笑っているような気がするんだよ。
その時な、女の人の笑い声も聞こえたよ。

もう絶対に隣のテントの奴らなんかじゃない。
そう確信した!
どうする?
葉子ちゃん!!
葉子ちゃんなら、思い切って見てみるかい!?
1.見てみる
2.見ない