晦−つきこもり
>三話目(山崎哲夫)
>V4

自分も、そっと覗いてみたんだけどな。
暗くて、テントの中からじゃ、何も見えなかったよ。
それで自分は、外に出てみることにしたんだ。

外に出ると、すずしい風がひゅーっと吹いていてな。
空気もひんやりしていて、少し肌寒く感じたよ。
テントの中って、結構蒸れるからな。
よけいそう感じたのかもしれない。

自分は、みんながどこにいるのか見回してみたんだよ。
でもな、いくら見回しても、誰もいないんだよ。
しかも、誰の話し声も聞こえない……。
その時な、風がビューッと吹いたんだ。

周りの木が、ばさばさと葉音をたてた。
昼間は、きらきらと緑に輝いていた森も、夜は真っ黒でな。
とてつもなく不気味に感じたよ。
自分は、気味が悪くなってな。
すぐにテントに戻ったんだ。

………………………………。
もう、何度寝返りを打っただろう。
自分はな、布団に戻った後も、なかなか寝付けなかったんだ。
外からは、川のせせらぎが聞こえていた。
そしてな、また人の声が聞こえてきたんだよ。

葉子ちゃん、もう一度外に出てみる?
1.外に出てみる
2.黙って寝る