晦−つきこもり
>三話目(藤村正美)
>O3

…………そう。
本気で、そう思うんですのね。
よくわかりましたわ。
……それじゃあ、話を始めましょうか。
これは、私の知り合いの女性の話なんですの。
その人は、美人とは呼べないような、個性的な顔立ちをしていたんです。

ずんぐりとした体型で、白衣はいつも特注でしたわ。
あら、みにくいというのじゃありませんのよ。
例えそうだとしても、そんなこといえません。
葉子ちゃんと違って、私は他人を傷つけてはいけないことくらい、わかりますもの。

とにかく、その人も私と同じ、看護婦だったんですの。
大原さんといって、やさしくて有能な看護婦でした。
どんな患者さんにも、分け隔てなく接していましたわ。
そんなある日、池波さんという男の人が入院してきたのです。

年の頃は、二十歳そこそこといったところでしょうか。
テレビタレントといっても通用しそうな、ハンサムな人でした。
葉子ちゃんは、顔のいい男の人って好きかしら?
1.好き
2.嫌い