晦−つきこもり
>四話目(前田和子)
>Y8

「ごめんなさい!
哲夫おじさん!!」
大声をあげて、部屋を飛び出す。
「ぐえっ!!」
えっ……!?
何、今の声?

「いでで、ひどいよ、葉子ちゃん」
哲夫おじさんが、扉に指か何かをひっかけたらしい。
「ははっ、哲夫、何をやっているんだよ」
あ、泰明さん。
みんなが、客間から出てきていた。

「哲ニイ、人騒がせだなあ。葉子は閉じ込められてなんかいないじゃない」
由香里姉さんが文句をいう。
「す、すまんなあ」
哲夫おじさんは、しゅんとしている。
「ごめんなさい、哲夫おじさん。
私……無意識に、鍵をかけてしまったみたいです」

とりあえず弁解しておこう。

「葉子ちゃん、
大丈夫だった?」
あ、和子おばさん。
「お騒がせしてすみません」
「あら、いいのよ。そうだわ、ちょうどいいから教えてあげる。葉子ちゃんが宝物を隠していたのって、実はこの部屋だったの」
ええっ、そうくるとは。

「良夫と一緒に隠していたのよね。場所も覚えてるわ。そう、あの棚の裏よ。
どう? 探してみる?」
ええっ、良夫とだったの?
1.探そう
2.やめよう