晦−つきこもり
>四話目(山崎哲夫)
>G10

錯覚か……。
そうだな。
あれは普通の人間や幽霊じゃなかった。
陽炎や蜃気楼のような、自然現象に近い存在だったと思うんだ。

あの時に見た男は、おそらくあの山の持つ『気』の様なものが、寄り集まってできたものなんじゃないか……って思うんだ。
これも冒険家のカンってやつかな。
がっはっはっはっは。
「……自分はな。このことがあってから、ますます大自然の力に魅せられてしまってな……」

そういって、哲夫おじさんは瞳をキラキラと輝かせてる。

……でも、その瞳の輝き方がちょっと危ないような…………。
「葉子ちゃんは、さっき、おじさんと旅に出るのは嫌だっていってたけど、本当は反対なんだろ。
照れちゃって、つい『嫌!』っていっちゃったんだよな」
……えっ!?

ちょっと待って、哲夫おじさんたら何をいってるの?
「私、そんなつもりじゃ……」
「がっはっはっはっは。そんなに真っ赤になって否定しなくってもいいんだよ。葉子ちゃんの本音はしっかりわかったからな」
本当に……?

本当にわかってるっていうの……!?
「そうだなぁ……。今度のゴールデンウィークは一緒に冒険だ!
どこか行ってみたい所はないのかい? 山か? 海か? それとも……」
1.山
2.海
3.どこか他の場所
4.どこにも行きたくない