晦−つきこもり
>四話目(鈴木由香里)
>A2

そっか、なら話は早いや。

ひとくちに占いっていっても、いろいろあるもんね。
爆発的ブームが過ぎたとはいえ、今でも街には占いが溢れてるじゃん。
街頭の辻占売りから、ゲームセンターのコンピューター占い、オカルトショップの占いコーナーなんていうのは、けっこう目にするよね。

かと思えば、企業や政治家と契約して月に何百万という見料を稼ぐ占師もいるっていうんだから、この世界も奥が深いと思うよ。

私がバイトしてたのは、女子高生で賑わう明るい雰囲気のオカルトショップだったの。
オカルトショップで明るい雰囲気……っていうと、なんだか場違いな気がしないでもないけどさぁ。

お客の九割が葉子ぐらいの女の子なんだもん、ワーワー、キャーキャー、ファンシーショップや雑貨屋と大差ないんだって。
あの子たちも、ファッションぐらいにしか意識してないんじゃん?

確かに、幸福のシンボル『四つ葉のクローバー』は、品種改良によって量産されてるものだし、魔除けとして売られてる『ウサギの後足』のキーホルダーは、形がいいからって理由だけで、実はウサギの前足が使われてるし……。

神秘の『し』の字も感じらんないのは、まぁ、しょうがないか。
でもね、ファッション感覚で手に入れると危険なものって、そこら中に転がってるもんだよ。
だいたい、みんな占いや呪術について知らなすぎるんだよね。

魔除けや呪符をそうとは知らずに持ってる人もいれば、幸運のアイテムだと勘違いして魔術や呪いのシンボルに願いを掛けてる人もいる。
それが『四つ葉のクローバー』や『ウサギの後足』ぐらいの物なら、とりたてて害はないんだろうけどさ。

私のいたマザー・アンジュのオカルトショップにも、けっこう危険なアイテムが並んでたよ。
それは……。
どんなものだと思う?
1.パワーストーン
2.おまじない人形
3.ニンニクと十字架
4.わからない