晦−つきこもり
>五話目(前田和子)
>B11

私は、ちろりと流し目をおくっていった。
「和子さん、なんでそんなことを聞くんだい? もしかして、わたしのことが気になっているのかい?」
「……葉子ちゃん、何いってるの? 私が気になっているのは風間さんよ。あなたじゃないわ」

う、通じてない。
和子おばさん、にらんでる。
でも負けないわ。
ありのままに伝えないと。
「ふふっ……、これから君のことを、和子って呼んでいいかな?」
「葉子ちゃん、ふざけるのはやめなさい」

ど、どうしよう。
風間さんの言葉をちゃんと伝えているのに。
よーし、こんどこそ。
決めのセリフをいえば、しっかり聞いてくれるかしら。
「和子、もっと近くにおいで。息がかかるくらいにね……」

「……怒るわよ」
「…………」
どうしよう。
風間さんがいったことをそのまま伝えてるのに。
1.違う伝え方をする
2.もう一度トライする