晦−つきこもり
>五話目(前田和子)
>N12

「……和子。君がどんな女性に見えるかって? ふふ、素敵だと思っているよ。当然じゃないか。
だから、いいだろ……?」
………………………………………
……………………。
沈黙が流れた。
誰も、なにもいおうとしない。

和子おばさんも、あきれた顔してる。
どうしよう。
どうしよう。
どうしようーっ!
……うっ!
あ、頭が痛い。
風間さんが、またなんかいってるわ。

(……葉子ちゃん。君は、いけない子だね。和子を困らせちゃいけないよ。僕の言葉をマネするだけじゃだめさ。それくらい、わからないのかい?
ちっちっち)

「ムキーッ!!」
私は、思い切り叫んだ。
「ど、どうしたの
葉子ちゃん?」
和子おばさん、驚いてる。
「だって、だって、風間さんが……」
むかつくこというんだもん。

「もういいわ。次の質問にいくわよ。えーと、あのう、風間さん。
私とのダンスはどうですか?」
どうっていわれても。
まわりくどい言い方はよして、早く風間さんとやらの気持ちをきいてほしい。
でないと、私は何をしでかすかわからないもの。

頭の中が、もやもやして変な気分。
風間さんの雑念が渦巻いてる感じ。
自分が自分でなくなってしまったみたい。

(……和子。君と一緒のダンスは最高さ。君のように素敵な女性と一緒にいたら、楽しいに決まっているだろう?
それは、事実。永遠の事実なんだよ。と、いうわけで。明日の朝ごはんはハンバーグがいいな)

「ねえ、葉子ちゃん。彼はなんていってるの?」
……和子おばさん。
本当に、こんな人が素敵なの?
何かの間違いで、どこかの低級霊でも降ろしたんじゃないの?

この人、本当に訳わかんないんだけど。
もう、ヤケだわ。
どうしよう?
1.踊りながら神託
2.奇声をあげて退室
3.風間の言葉を伝言