晦−つきこもり
>六話目(真田泰明)
>2H4

俺は琴の所にいく。
そこにはあの朱色の琴が、静かにたたずんでいる、そんな感じだった。
(しかし、何なんだ、この琴は………)
俺はその雰囲気に、触れることもできなかった。
朱色というより、まるで血の色のようだ。

(いったい、なぜ、こんな色に………)
見ていると、まるで吸い込まれそうになる。
俺は目を反らした。
弦が突然切れた。
足が硬直して、俺の動きが止る。
まるで金縛りにあったようだった。

俺はその不気味とも、魅惑的とも思える琴に支配されたような気がしていた。
「泰明さん………、泰明さん、そろそろ行きませんか」
河口君が背後で叫んでいる。
俺は我に返った。
「あ、ああっ」
そう返事をすると、俺は扉の方へ歩き出した。

扉の前には、もうみんなが集まっている。
そして俺達は部屋を後にした。

(→二階廊下に戻る)
(→全ての部屋を回った場合)