晦−つきこもり
>六話目(真田泰明)
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俺は拳銃のことが気になった。
しかしそれと同じぐらい日本刀のことも気になる。
(あれも拳銃と同様、問題だからな………)
その場に行くと、まだそこに河口君がいた。
河口君も日本刀のことが気になったんだろう。

「河口君、ほんとうに本物の刀なんですか………」
俺は河口君の顔を見ると、そう問いかけた。
「本物だよ………、泰明さん………、とんでもない所を紹介しちゃいましたね」
河口君は申し訳なさそうに、そういった。

「そんなことないよ………。俺がよく調べなかったのがいけなかったんだ」
俺は苦笑しながら、彼の言葉を否定した。
「しかし、河口君、この屋敷は何なんだ………」
俺は河口君の顔を覗き込んだ。

「いや俺も詳しく知っているわけではないんですよ。ただ地元で評判の幽霊屋敷らしいですね」
彼は元気の無い声でそういう。

「まあ、ホテルに戻ったら、警察に届けましょう。きっと昔の物が、残されていただけじゃあないですか………」
俺がそういうと、河口君は小さく笑い、その言葉に同意する。
「そうだな、当時からあった物だとすると、何の不思議もないよな」
俺も日本刀を手に取った。

そして鞘から抜くと、その刃は月の光を反射して、鈍く光る。
それは不気味でもあり、そして美しくもあった。
「日本刀というのは、手入れをしなくても、こんなに美しいままでいるものなのかな」
俺はその美しさに疑問を感じた。

「いや良くわかりませんけど………、そうなんじゃないですか………」
河口君は首を傾げて、そういった。
俺は刀を鞘に戻し、元の場所に置く。
そして鎧に眼を移した。
鎧も、非常に保存状態がいいものだった。

それはまるで、中に誰かいるような存在感がある。
俺と河口君は、その鎧にしばらく見とれた。
しかし、しばらくして河口君が口を開いた。

「泰明さん、そろそろ行きませんか。何かこの鎧の存在感に押しつぶされそうですよ」
河口君はそういって、鎧から眼を反らした。
「そうしようか………」
俺はそういうと、扉に向かって歩き出す。
(ははっ、役者らしいな………)

心の中で俺はそう苦笑していた。
「みんな、そろそろ行こう」
俺は歩きながら、そういった。
するとみんなは扉の方に歩きだした。
俺達は部屋を出た。

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