晦−つきこもり
>六話目(真田泰明)
>3A3

俺達は子供部屋に入った。
そこは俺達が来たあと、誰かが入った様子はなかった。
みんなはライトを照らして、床を見ている。
俺も鍵を探すことにした。

俺はさっき来たとき見た、日本人形の所へいった。
あの日本人形は、さっきと同じように優雅にたたずんでいる。
俺は床を見た。
(無いな………)
床には何も落ちていない。
俺は膝を付き、床を見回る。
部屋のあちこちで、みんなが床を調べているのが見えた。

そのとき突然、三味線の音がした。
床で這うみんなの動きが止るのがわかった。
(何なんだ、この三味線は………)
俺に戦慄が走った。
(えっ………)
あの日本人形が、俺の視界に入ってきた。

三味線の音色に合わせ、まるで人間のように踊っていた。
俺は飛び上がるように、立ち上がった。
「な、なんなんだ………」
いつの間にか、背後にみんなが来ている。
さっきの悲鳴は吉川のものらしかった。

「泰明さん………」
河口君が当惑しながら、俺の名前を呟く。
しかし、その言葉は続かなかった。
「泰明さん、早く屋敷を出ましょう」
吉川が声を震えさせながら、言葉を絞りだした。

「そ、そうだな………」
花田さんも吉川に同調して、俺にそう促した。
「はっ、はい………」
俺はその言葉だけ絞り出すと、扉に向かった。

「泰明さん………、あれは………」
河口君が疑問を投げかけたが、俺は答えなかった。
そして俺達はその部屋を出る。

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(→全ての部屋を回った場合)