晦−つきこもり
>六話目(真田泰明)
>3D3

俺達は子供部屋に入った。
そこは俺達が来たあと、誰かが入った様子はなかった。
みんなはライトを照らして、床を見ている。
俺も鍵を探すことにした。

俺はさっき見た、あの床の染みの所へ行く。
すると花田さんも気になったらしく、その場所にいた。
(あの血の痕は昔のものだ………、飯山のものではない筈だ)
俺は嫌な予感を否定した。
「花田さん………」
床を見つめている花田さんに、俺は声を掛けた。

「………………」
花田さんは呆然として、床を見つめている。
俺の声がまるで聞こえないようだ。
「花田さ………」
もう一度、声を掛けようとしたときだ。

「泰明君………」
彼は俺の声を遮るように、言葉を放つ。
そして言葉を続けた。
「血が乾いていない………、まるで流されたばかりの血のようだ………」
俺は彼の言葉の意味が、理解できなかった。

「ど………、どういうことなんですか………」
そして俺はその床の血を見た。
そこにある血は、さっきあった乾いていた血の跡じゃあない。
「これは………」
俺は呆然として、その血の跡を見つめた。
(俺達がさっき来たあと、ここで飯山が………)

その血の跡は左にある扉に続いている。
俺はその扉にいった。
(こんなところに扉があったか………)
その扉には、鍵がかかっている。
俺は鍵を開けようとした。
しかし、どの鍵も合わない。

花田さんがいつの間にか、傍らに来ていた。
「泰明君………」
俺は花田さんの顔を見た。
「………………」
そして俺は小走りに外に出て、その扉の向こう側へ回った。
「壁………」
そこには扉があるわけはなかった。

その部屋は一番端の部屋で、扉の向こうは玄関のホールが吹き抜けになっている。
俺はホールの方に眼をそらした。
「飯山………」
その扉があるはずの場所の先には、飯山が吊されていた。
俺はみんなを振り返る。

みんなは青い顔して、飯山を見ていた。
「もう! 早くこの屋敷をでましょうよ!」
吉川がそう叫ぶと、みんなは我を取り戻した。

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(→全ての部屋を回った場合)