晦−つきこもり
>六話目(真田泰明)
>3F3

俺達はさっきの婦人の部屋に来た。
部屋は静まり返り、奇怪な事件の現場とはとても思えない。
みんなは部屋の各所に散らばり、鍵を探し出している。
(早く鍵を探さなければ………)

俺はさっき見た絵の所に行く。
そして影の中に沈む絵を、ライトで丹念に探した。
ライトが絵を照らした。
しかしその絵の美女の口元に、血が滴っていた。
(な、なんなんだ………)
俺は呆然と立ちすくんだ。
(まさか………、飯山の血じゃあ………)

直感的にそう思った。
しかし、なぜ絵に血が付いているのか、不思議だった。
俺の頭の中を、いろいろな考えが巡る。
しかし常識では、その疑問を解決することはできなかった。
そんなたたずんでいる俺の所に、河口君と吉川が駆け寄ってくる。

「泰明さん………、どうしたんですか。早く鍵を見つけないと………」
彼等は、俺の視線を追って絵を見た。
喉を絞るような悲鳴を吉川は上げた。
そして何か話そうと口を動かす。

「ち、血………」
それは言葉にならなかった。

「飯山の血かもしれない………」
俺は絵から目を離さず、ポツリと話した。
花田さんも駆け寄ってくる。
そしてその絵を見て、声を失った。
漫然と時が流れる。

「とにかく早く屋敷から出て、警察に知らせましょう」
俺は振り返り、みんなにいった。
みんなも我に返り、扉に向かって歩みだす。
そして俺達はその部屋を後にした。

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(→全ての部屋を回った場合)