晦−つきこもり
>六話目(真田泰明)
>3J3

俺達はこの屋敷の主人の部屋に入った。

部屋に入ると、俺は掛け軸のところに向う。
もし鍵を落としたとすると、そこだと思った。

そして俺は床にライトを当てながら、そこへ向かった。
掛け軸の所まで来たが、鍵は見つからない。
(この部屋じゃあないのかな………)
俺はあきらめて顔を上げた。

みんなの動きも止まり、成果はないようだった。
(やはりこの部屋じゃあないのか………)
そして俺がそんなことを思っていると、生暖かい風が流れる。
俺は掛け軸が気になり、振り返る。
(いない………)

掛け軸に描かれていた幽霊の美女が消えていた。
(ど、どういう………)
俺は背中に寒いものを感じ振り向く。
するとそこにはあの美女が立っていた。
彼女はまるで陽炎のようにそこに立っている。

まるで空気に映した映像のようだった。
俺は横に這うように壁と彼女の間をすり抜けた。
「みんな化け物だ、は、早く!」
みんなは俺の方を振り向くと、状況を察したらしく、我先に出口へと向かう。
そして俺達は部屋を出た。

「泰明さん、あれは………」
河口君は、青い顔をして聞いた。
「わからない………」
俺はただそう答えただけだった。

(→二階廊下に戻る)
(→全ての部屋を回った場合)