晦−つきこもり
>六話目(真田泰明)
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俺達はこの屋敷の主人の部屋に入った。

俺はさっき来たとき見た、日本刀のところにいった。
月が傾き、月明かりが日本刀にあたり、美しく光っている。
(えっ………、さっきは鞘に入っていた筈だ)
目を疑った。
(あのあと誰かが………、いや俺の後、誰もここには来なかった筈だ………)

俺はその日本刀を呆然と見つめる。
(俺達以外に誰かこの屋敷の中にいるのか………)
日本刀は俺のそんな困惑とは関係なく、怪しく光り続ける。
(な………、何だ………)
刃から血が滴り落ちてきた。
(一体………、使ったばかりなのか………)

しかしその血は流れ続け、使ったときにこびり付いた血とは思えなかった。
そしてその刀は、見えない手につかまれたように、スーッと宙に浮いた。
俺は唖然として、ゆっくり目を柄の方へ移した。
その柄には、それを掴む手がある。

俺がその手にそって視線を移動させると、そこには鎧があった。
俺は恐怖を予感した。
そしてゆっくり、後ずさる。
視界は徐々に広がり、しだいに鎧の全貌が見えてきた。
(よ、鎧が立っている………)
鎧がまるで人間のように立っていた。

その鎧は、ゆっくり俺に方に歩み出す。
それが、ただの鎧でないのは確かだった。
「み、みんな、逃げろ!」
俺は走り出した。
みんなも俺の方を見て取ると、状況を理解し、扉の方に走る。
そして俺達は部屋を出た。

俺はみんなが外に出ると、急いで鍵を閉めた。
「泰明さん、あれはいったい………」
河口君は、真っ青な顔をして俺に聞いた。
しかし俺は首を振ることしかできなかった。

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(→全ての部屋を回った場合)