晦−つきこもり
>六話目(真田泰明)
>3S4

みんなは各々のところに探しにいった。

俺は窓の所に行った。
(この部屋で落としたとすれは、この辺りなんだけど………)
ライトの光を、嘗めるように床に当てたが、そこには鍵は見あたらなかった。
俺はカーテンを開ける。
(何だ………)
テラスには、無数の黒い猫がいた。

そして更に続々と猫が集まり、その数を増していく。
俺はその群を凝視した。
みんなも気付いたのか、周囲に集まってくる。
「泰明さん、何ですか………」
河口君は俺の顔を見て尋ねたが、俺にわかるはずもなかった。
みんなはまるで、時間が止まったように立ちすくんだ。

しばらくすると、猫の群がゆっくり動き出した。
俺達は後ずさりをする。
(大丈夫だ………。扉は閉まっている………)
しかし、俺は恐怖を拭えなかった。
(ただの野良猫じゃないか………)

俺は自分に、そういい聞かせた。
みんなはテーブルに阻まれ、後退をやめた。
猫は扉の向こうでうろうろしている。
(大丈夫だ………)
俺は部屋を出ようと、扉の方に歩き出そうとした。

「ここには無いみたいですね。他を………………」
歩き始めながら、そういいかけたときだ。
窓が音を立てて、ガタガタと震えだした。
そして、突然大きな音を立てると、扉がスーッと開いた。
(えっ………、なぜ………)

まるでスローモーションのようだった。
次々と猫が部屋に入ってくる。
そして俺達の周囲に来ると、まるで獲物を狙うように見つめた。
(いったい何なんだ………)
俺達は各々扉の方へ後ずさった。
扉の前まで着いた。

俺は後ろ手でノブを取る。
「みんな、扉を開けますよ」
みんなは猫から目を反らさずに頷く。
俺は扉を開け、部屋を出た。
みんな次々と部屋を出てくる。
そしてみんなが部屋から出るのを確認すると、扉を閉じた。
(いったいあの猫は………)

その様子は普通の猫とは、とても思えなかった。

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(→全ての部屋を回った場合)