晦−つきこもり
>六話目(山崎哲夫)
>X4

眠っている場合じゃないぞ!
これを聞き逃したら、一生後悔するよ!
な、わかるだろう?
わかるよね。
……わかってくれよ!
おじさんは、この話がしたいんだよ。

自分の番を楽しみにしていたんだから!
みんなも寝ないでくれよ。
な、頼むから。
じゃあ、続きを話すからな。

自分は、まずスポンサー探しから始めたんだ。
ジャングルに着いたら自給自足とはいえ、そこまでの飛行機代はかかるもんな。
冒険家っていうのは、自分の冒険記を楽しみにしている人と共にあるんだよ。

友人や、友人の知り合いに声をかけて、伝説の恐竜の話や写真に興味がある人々の協力を求めるんだ。
その時は、ミステリー雑誌の編集部が出資してくれたよ。
それから自分は、図書館で恐竜の資料を調べたんだ。

この現代でも、生きた恐竜らしきものが発見されたという記録はいろいろある。
それらをまとめて、とあるジャングルに的を絞ったんだよ。
滞在期間は、二週間の予定だった。
同行者はいない。

飛行機でジャングルのある国まで行って、現地で車を調達したんだ。
ジャングルの手前までは車で進んだが、途中からは歩きだったな。
自分は一人で、ジャングルの奥深くに向かっていったんだよ。

毎日の食料は、現地調達だ。
知ってるかい、向こうには、野生のバナナがたくさん生えているんだよ。
その葉っぱを燃やして、料理を作るんだ。
ヤシの実からココナツミルクを搾ってな、それで果物を煮たりするんだよな。

女の子って、そういうのが好きなんじゃないか?
がはは、今度、連れてってほしいかい?
1.行きたい、行きたいっ
2.冗談はよして