晦−つきこもり
>六話目(山崎哲夫)
>A5

そうかそうか!
葉子ちゃんには、立派な冒険心があるんだなあ。
感心、感心。
じゃあ、今度一緒に行こうな。
約束だぞ!

ああ、今日はいい日だ。
なんだか歌いだしたい気分だよ。
ルラララ〜っと。
…………ふうー、すまんな、興奮してしまった。
さ、続きを話そうか。

自分は、伝説の恐竜が発見されたといわれている湖でキャンプをしたんだ。
目だたないところにテントをはり、湖を観察したよ。
葉子ちゃん、向こうの湖はすごいぞ。
とにかく、海みたいにだだっ広いんだ。

それにな、水が、セメントを溶かしたような色をしているんだよ。
中にはワニとか、ピラニアなんかがいるからな。
水を飲みにきた動物を食べたり、魚を食べたりして、つねに争っているわけだよ。

そいつらがバシャバシャやるから、にごった水になってしまうんだよな。
恐竜が住んでいても、水中から顔を出してくれないとわからないんだ。
自分は、その瞬間を待ち続けたんだよ。

睡眠時間は、毎日五時間に決めた。
昼に二時間、夜に二時間、早朝に一時間というふうに、わけてとったよ。
一遍に長い時間寝てしまうと、観察しにくいからな。
もちろん、寝ている間はビデオカメラを仕掛けておいたよ。

最初の三日間くらいは収穫がなかった。
だが、四日目くらいに、首の長い恐竜のような影が見えたんだ。
湖の向こう岸のあたりでな。
自分は、すぐにそっちの方に向かった。
こちらの岸で自動カメラを回しながら、ハンディカメラを持ち歩いたんだ。

でもな、進んでいくうちに、その影が動かないことに気付いたんだよ。
あれは何なんだろう。
自分はそう思いながら、近くまで進んでいったんだ。
その時だよ、葉子ちゃん。
後ろから、何かに押さえつけられたんだ!

思い切り、頭を殴られたんだよ!
本当に痛かったんだから。
すぐに、目の前が真っ暗になった。
気が付くと自分は、大勢の人々に囲まれていたんだよ。
彼等は、干し首のようなものを首に下げていた。

さあ、いいかい葉子ちゃん。
ついに、ンバンバ族の登場だ!!
ところで葉子ちゃん、ンバンバ族って、どういう人々だか知ってるかい?
1.知っている
2.知らない
3.恥ずかしくていえない
4.できれば一生知りたくなかった