晦−つきこもり
>六話目(前田良夫)
>L4

へえ、偶然じゃん。
片山の兄ちゃんも、同じこといったんだよ。
そうしたら、ピンクさんはにーっと笑った。
「そうかい。ダイヤを持つ者は、富と成功を約束されるっていうものねえ。それじゃあ、おいで……」
ピンクさんが手招きする。

片山の兄ちゃんは、フラフラとついてっちゃったんだ。
二人が行ったのは、古い家だった。
そこの座敷に通されて、座卓の前に座らせされてさ。
何が始まるかと思って、ビビッてる片山の兄ちゃんの前に、小さな袋が置かれたんだ。

「開けてごらん」
ピンクさんのいうとおり、袋を開けたら……。
中には、直径一センチ以上ありそうなダイヤが、五、六個入ってるじゃないか!
これだけあれば、一生遊んで暮らせるんじゃないか!?
そう思っても、しょうがないよな。

だって、人間って楽したいもんじゃん。
1.そんなことないわ
2.それが普通よね