晦−つきこもり
>七話目(前田和子)
>A9

「ついて来たい? ……そうか、その方がいいかもしれない。一生懸命拝めば、赤い靴の子は、これ以上事故を起こさないでくれるかもしれないし」

「……おい、泰明。本気でそんなことを考えているのか?」
和弘さんの手を振り払い、泰明さんは立ち上がった。
「じゃあ、葉子ちゃん、行こうか……」
私達は、再びお堂に向かった。
石段を上り、人形をつき落とす。

……嫌な音が響いて、人形は首と胴に別れて転がっていった。
「泰明さん、次はお堂に……
あっ!?」
人影のようなものが見えた。
まさか、また何かするつもり?
「泰明さん、危ない!」
泰明さんにすがりつく。
その私の手を、ナイフのようなものがかすった。

もしかして、狙われているのは私……?
「葉子ちゃん、逃げるんだ!!」
泰明さんと、二人で逃げ出した。
石段に登り、隠れるところを探す。

「そうだ、お堂の中に……!」
泰明さんに連れられ、お堂に入った。
「葉子ちゃん、しばらくここに隠れていよう。……そうだ、どうせだからお参りをしてしまおうよ。赤い靴の女の子のお札があるはずだよ。探して祈ってみて……」
「でも、泰明さん……」

「大丈夫。入口は、俺がしっかり見張っているから」
泰明さんが、扉の前に座り込む。
私は、懐中電灯を照らし、お札を探してみた。
……あった。
たどたどしい子供の字で、おかあさんをかえしてと書いてある。

手をあわせて、和子おばさんや、良夫のことをしばらく考えた。
(これ以上、犠牲を出さないでください……)
「……泰明さん、拝みました」
私は、小声で伝えた。
「……泰明さん?」
返事がない。

「泰……」
泰明さんは、扉にもたれて、胸から血を流していた。
そして、横から風を切る音が。
「きゃあああっ!!」
何かが、ナイフを持って襲ってきた。

誰?
殺される!!
1.お札を投げつける
2.懐中電灯を投げる
3.とにかく逃げる
4.相手の正体を確かめる