晦−つきこもり
>七話目(前田和子)
>B13

「あら、そうですの。二人は、葉子ちゃん達が心配で様子を見に行ったんですのよ。すれ違いになってしまったんですのね」

えっ?
そうだったの?
あそこには、変な人影がいたのに。
二人とも、大丈夫だったかしら?
「葉子!! 戻ってたの?」
由香里姉さんが、ふすまを開けて入ってきた。

「よかった! 心配してたのよ。
お堂で、泰明さんが倒れてたから……!」
続いて、和弘さんも。
「葉子ちゃん、
一体何があったんだい?」
……のどが渇く。
うまくいえるかわからないけど、話すしかない。

私は、お堂であったことをどうにか伝えた。
「……それは、ひどい目にあったね。しかし、一体誰が? 何のために?」
和弘さんは、頭を抱えた。

「あの、泰明さんは……」
「…………」
和弘さんは押し黙っている。
そんな。
やっぱり、死……。
「葉子ちゃん!」
よろめいた私を、哲夫おじさんが支えた。
……怖い。

このままここにいたら、きっと私も殺される……。
「葉子ちゃん、ちょっといいかしら」
正美おばさんが、耳打ちしてきた。
「その、向こうの部屋で話しませんこと?」
いきなり何だろう。

正美おばさんは、返事を待たずにふすままで進んだ。
そして、目配せをする。
1.ついて行く
2.行かない