晦−つきこもり
>三話目(前田和子)
>N2

「やーい、ほんとは怖いんでしょ」
「…………」
良夫は、顔を赤くしてにらんできた。
「ばかにするなよ。ちょっと年が上だからって」
あれ、ふくれてしまった。

「……いっつもそんな態度だから……人の気も知らないで……」
何かぶつぶついっている。
「ふん、一緒に行けばいいんだろ?
でもすぐに戻るからな」
良夫は、頬をふくらませながら立ち上がった。
二人で客間を出る。

「良夫、私達が寝る部屋ってどこよ」
「うーん、たぶんあっちの広間」
「あっちね」
良夫に連れられ、広間に行く。
「和子おばさ……いないじゃない」
由香里姉さんもいない。

広間では、親戚の人達が何人か集まって起きていた。
「変だなあ。じゃあ、あっちの部屋かな?」
別の部屋に行く。
そこにも、二人はいなかった。

「かあちゃん達、どこかで話してるのかな」
「ええ? どうして?」
「……葉子は知らなくていいよ」
良夫が、やけに大人ぶった口をきく。
うーん、何なんだろう。

ふと見ると、廊下の先の部屋から明かりがもれていた。
覗いてみようか?
1.覗く
2.良夫に聞く
3.客間に戻る