晦−つきこもり
>三話目(前田良夫)
>C2

冷たいよなあ、葉子ネエ。
俺が話したいってんだから、話させてくれたっていいじゃん。
ダメだっつっても、話すからな。
実はさあ、うちも子守のバイト、頼んだことあったんだって。
俺がまだ、よちよち歩きの頃だっけ。
なあ母ちゃん、そうだったよな。

……だけど、そのときのことって、あんまり覚えてないんだよなあ。
そんなことをいって、良夫は首をかしげてる。
それじゃあ、怖い話にも何も、なりゃしないじゃないの。
何がいいたいのかしら、コイツは。

すると、正美おばさんがスッと身を乗り出した。
「よければ、私が催眠術をかけてあげましょうか? 少し、かじったことがありますの」
催眠術!?
おばさんったら、真面目な看護婦さんだとばかり思ってたら、実は結構オカルト好き?

「やめておきなさいよ。何だか、危険そうじゃないの」
和子おばさんが、眉をひそめている。
どうしよう。
確かに、素人の催眠術なんて、危ない気がするけど。
1.試しにやってもらう
2.やっぱりやめておこう