学校であった怖い話
>一話目(新堂誠)
>A3

そうさ。
あいつ、あんなにおとなしそうな顔をして彼女がいたんだぜ。
名前は、目黒啓子ってんだけど、相談ってのが、その子のことなんだよ。

何でも、あの踊り場の鏡には、不思議な伝説があるんだってな。
夜中の三時三十三分三十三秒にあの鏡に両手を合わせると、異次元の世界へ行けるんだってさ。
嘘みたいな話だろ?

もちろん、夜中の学校に忍び込む奴なんていない。
それに、異次元に行ったって、帰ってこれる保証はない。
だから、誰も試す奴なんかいなかった。
ただの怖い噂として、一部に語り継がれていたわけさ。

ところが、話を聞いてみると、どうも彼女はそれを試したらしいんだよな。
ある日吉岡はさ、目黒さんに打ち明けられたそうだ。

「学校に来てもおもしろくない。家では、両親がケンカばかりしてる。だから、あの伝説が本当だったら、異次元の世界に行きたい」
ってな。
吉岡は、まじめに話を聞いてやったらしい。
よほど、目黒さんのことを好きだったんだな。

そして、彼女も吉岡のことを好きだった。
「もし吉岡君が私のことを愛しているのなら、一緒に異次元に行ってくれる?」
そんなことを
聞かれたんだってよ。

その時、吉岡はなんて答えたと思う?
1.一緒に行こう
2.一緒には行けない
3.何も答えない