学校であった怖い話
>一話目(新堂誠)
>L4

その通りだ。
合わせ鏡をした瞬間、いやな呻き声が聞こえたんだよ。
その呻き声は……。
吉岡の声のようだった。
いや、確かに吉岡の声だった。

吉岡は不気味な呻き声をあげた後、こう言ったんだ。
「う……うっ……うわあーっっ!
うわーあ、すっ、すごいなあ! 合わせ鏡って、こんなにたくさん鏡の中に鏡が映るんだー?」

………。
俺は、無意識に奴の首根っこをつかんだね。
すると、奴はこう言うんだ。
「ぎゃああーっ! れ、霊が! 霊が僕の首を……!!」

俺は初めて人の首を絞めたいと思ったよ。
殺意……。
それは、いつどこで起きるか分からない。
平凡な一高校生に訪れた初めての感覚……!
それは殺意。
………学校であった怖い話
………完

………。
いや、違うんだ。
これで話を終わらせるつもりはない。
この後起こったことが、重要なんだ。
……何があったかって?

そう、出てきたんだよ。
悪魔がさ……。
ちょっと待てよ、
何だよその目は。
疑っているのか?
嘘じゃないぜ、もう少し話を聞けよ。
合わせ鏡に映ったたくさんの鏡の中の一枚から、悪魔が現れたんだよ。

長い髪をだらりとたらした悪魔は美しい女のしかばねのような姿をしていた。
そいつは、俺たちをじっと見すえながら、開口一番、こんなことをいいだしたんだ。

「て、のみたい……」
手を飲みたい?
何のことだかわかんないよな。
俺が不信に思っていると、吉岡がいきなりこんなことを言い出したんだ。

「手の血を飲みたいんですか?」
すると悪魔はにっこり微笑んだ。
不思議な表情だった。
じっと見ていると、怖いんだかどきどきするんだかよくわからない気分にさせられるような……。

吉岡なんか、とりつかれたようにフラフラと悪魔に近づいて腕を差し出しちまったしな。
それで俺は、どうしたと思う?
1.やめろと叫んだ
2.吉岡の腕を引っ張った