学校であった怖い話
>一話目(細田友晴)
>I4

君のいう通り、そんなところになんか行くわけない。
まだ試験を受けなきゃならない、大事な体だったんだから。

会場に戻ると、中野の姿が見えなかった。
そろそろ入室しなきゃ、次の試験に間にあわないのにね。
そこまで来てやしないかと思って、会場の外をのぞいてみたよ。
でもその時、試験官の先生が来て、試験の始まりを告げた。

そして、彼の姿が見つからないまま四時間目の試験が始まったのさ。
彼は、戻ってこなかった。
彼の席は空席のまま、試験は続けられた。
試験が始まると、途中入室も許されない。
彼は、どこにいってしまったのか、そのまま試験を放棄してしまったんだよ。

僕は、変な胸騒ぎを覚えた。
もしかして、彼に何かあったんじゃないか……と。
四時間目の試験が終わり、気になってもう一度あのトイレに行ってみたのさ。

すると、どうだ。
また、あの手がトイレから伸びているじゃないか。
風になびくようにゆらゆらと揺れながら、手は僕のことを誘っているようだった。
そういえば僕は、トイレをよく捜そうとはしなかった。

もしかしたら、中野はまだこの中にいるのかもしれない。
なぜか、そんな気がしてならなかった。
確かめようか?
どうしようか?
1.トイレに入る
2.トイレには入らない