学校であった怖い話
>一話目(福沢玲子)
>G5
このベッド、やっぱりなにか変だと思って、早苗ちゃんを起こすことにしたの。
そしたらベッドが嫌がって、ものすごい音を立てて揺れるのよ。
それからラップ音っていうのかな、すごい音が保健室に響いて、ベッドのきしむ音と重なりあって!
早苗ちゃんもさすがに怖がってね、泣き出しちゃって……。
「早苗ちゃん!枕の中の紙切れを取って!
だめだよ、そんなベッド!
だまされちゃダメ!
そんなことしてたら、ベッドに食べられちゃうよ!」
……ちょっと言い過ぎだったかな。
ベッドは怒って、床が突き抜けんばかりに音を立てて揺れて……。
静かになったの。
早苗ちゃんが、血の儀式の紙切れをはずしたんだ。
そのあと保健の先生が来てね、突き指の手当をしてもらったの。
うーん、よかったよかった。
……って、思うでしょ?
あの「ケツ」って紙ね、早苗ちゃんが又使おうとしたらまずいから、私が持ってるの。
ほんとは捨てたいんだけど、それで呪われたりしたら怖いし。
それでね、机に入れておこうとしたら、何だか机がガタガタ揺れたみたいなの。
ベッドだけじゃなくて、いろんなものに命をふきこむ力があるみたい。
だからあの紙、うかつに置いておけないんだよねえ。
だから私ね、いつも持ってるの。
あの、血の儀式の紙をね。
スカートのポケットに入れてるんだけど、このスカートまで時々もぞもぞ動く気がするんだよね。
え、私が動けばスカートも動くのは当然だって?
自然に動くのとは、ちょっと違うんだけどなあ。
気のせいかなあ。
気のせいだよね、
じゃなきゃ嫌だな。
ま、今んとこ危ない目にはあってないし。
気のせいだと思うけどね。
そうだ、こういうのはどう?
試してみない?
坂上君、このスカート、はいてみない?
それで、ちょっと聞かせてよ。
このスカート、おかしいかどうか……。
1.はく
2.はかない