学校であった怖い話
>二話目(風間望)
>C8

「あのー、お願いしますよ。これは、怖い話の特集なんです。学校の食堂がまずいのどうのっていう話じゃないんです。これじゃ、記事が書けませんよ。後生だから、僕を助けると思って、まじめに話してもらえませんか?」
風間さんは、不満顔だ。

でも、仕方ない。
僕は、ねばった。
どうやら、話す気になってくれたみたいだ。
今度こそ、怖い話を期待したい。
……しょうがないな。
僕は、もう五話も話したんだよ。

さっき岩下さんが一つ話したから僕がもう一つ話すと、もう七不思議が完成してしまうじゃないか。
みんな、どんなことが起きるかわかっているのか?

言っちゃあ何だけど、この集まりは呪われているよ。
岩下さんがあんなになってしまったこと、偶然だと思うかい?
偶然なんかじゃない。
あれは、起こるべきして起きたことさ。

僕にはわかっていた。
七不思議をこのまま続けていくととんでもないことが起きることがね。
僕たち全員が、ただじゃすまない。

特に、坂上君。
君の身に何が起こるか、僕は想像するのも怖いよ。
……まあ、僕がこんなに忠告しても君は七不思議を続けるんだろうけどね。
君には、見えるかい?
さっきから、僕たちをねらっている悪霊の姿が。

この部屋の隅で渦巻いている悪霊の姿が。
ほら、……あそこだ!
「わっ!」
僕は、思わず飛び上がった。

そして、風間さんが指さしたほうに目をやった。
……何もない。
何もあるわけがない。
風間さんが脅かしただけだ。

「よしてくださいよ、風間さん……。
あれ? 風間さん?
風間さん?」

……いつの間にか、部室から風間さんの姿が消えていた。
みんな、狐につままれたような顔をしている。
誰も部屋から出た気配はない。
ドアが開いた音も聞いていない。
それに、ほんの一瞬の出来事だ。

人が一人消えてしまうなんて……そんなこと、考えられない。
僕は、背筋が、ぞっとした。
本当の恐怖とは、こういうことを言うのかもしれない。
僕は、茫然として動けなかった。
「どうする? こんなことになってしまったけれど、話を続けるの?」

一人の声で、僕は我に帰った。
確かに、何か嫌なことが起きている。
はたして、このまま続けていいものなのだろうか?
それとも、やめた方がいいのだろうか?
1.続ける
2.やめる