学校であった怖い話
>二話目(細田友晴)
>C7

「……でも、僕にはあれが、いい霊だとは思えません。なにか悪いことが起きる前に、除霊した方がいいですよ」
その瞬間、比田先生の表情が変わった。

眉をつり上げ、くちびるをかんで、血走った眼で僕を見つめてる。
能面の、般若って知ってるかい?
邪念に支配されて、鬼と化した女の面なんだって。

比田先生の顔は、あれにそっくりだったよ。
自慢じゃないけど、僕はそんなに気が強い方じゃないからね。
震え上がったよ。
恥ずかしいけど、女子といっしょじゃなかったら、その時点で逃げ出したかもしれない。
でも、比田先生は、フッと俯いた。

「そう……わかってもらえなくて残念だわ」
取りつかれたような、異様な眼の光も消えていたよ。
ガックリと肩を落とした比田先生は、僕たちと同年代の少女に戻ったみたいに見えた。
「……除霊するのなら、せめて私の手で……成仏してほしいって思いを込めて除霊してあげたいわ……」

比田先生は正義感が強いから、そんな気持ちになってしまったんだろうな。
先生は、僕を見て力無く笑った。
「細田君は霊に詳しいようね。先生に、どうすればいいか、教えてくれる?」

もちろん、僕に除霊の知識なんてない。
でも、寂しそうな先生を見ていたら、何だか悪いことをしてるような気になってさ。
「僕にできることなら……」
「ありがとう」

先生は、何だかホッとしたように見えた。
女子を先に帰して、僕は先生と向かい合って座った。
さて、どうしようか?
1.西条の話を、もっと詳しく聞く
2.染みの正体について聞く