学校であった怖い話
>二話目(細田友晴)
>F5

進路指導の芦村先生は、昔気質の大柄な人なんだ。
……ふふっ、何が言いたいかわかるよ。
でもまあ、最後まで聞いてくれないか。

厳格な芦村先生は、僕たちの話を悪ふざけだと思ったらしい。
「馬鹿なことをいうんじゃない。トイレの染みなんて、珍しくないだろう。邪悪な霊気?
女子を怖がらせて、そんなに楽しいか!」

……だって、ひどいだろう。
別に、僕が言い出したわけじゃないのにね。
とにかく、僕たちは職員室を追い出されてしまったのさ。

女の子たちは、怒られたことで、何か開き直ったみたいだった。
「もう、ほっときましょうよ。あたしたちが近寄らなきゃ平気よ。何か起こったら、芦村先生のせいだもの!」

……ああいう時の女の子って、怖いよね。
一気に団結しちゃってさ。
とてもじゃないけど、異議をはさめる雰囲気じゃないんだ。
まあ僕としても、わざわざ危ないものに近づく気はないしね。
それで、僕たちは解散したんだ。

その日は、うちの部活があってね。
軽いミーティングだったんだけど、終わったら日が暮れてた。
帰る時に、ふと例のトイレが気になってさ。
よせばいいのに、わざわざ前を通って帰ろうとしたんだよ。
そしたら…………驚くじゃないか。

芦村先生がいるんだよ。
例のトイレの前で、辺りを気にしてさ。
僕は、とっさに陰に隠れた。
僕に気づかなかった先生は、トイレの中に入っていったんだ。
染みの話を、馬鹿馬鹿しいなんて言っておいてね。

これは、変じゃないか?
こんな時、君ならどうする?
1.構わず、家に帰る
2.トイレの中をのぞく