学校であった怖い話
>二話目(岩下明美)
>A6

「もう一度試してみよう」
彼は、再び階段を下りてみたの。
気持ちがあせって、自然と速足になったわ。
彼はつまづきそうになって……。
壁にしがみついたの。
階段は足元が暗くて、なんだか闇に向かって下りているような感覚だった。

下の階にたどりつくと、彼はまず廊下の端の教室を見たわ。
すると……。
そこには、自分の教室があったの。
確かに階段を下りたはずなのに。
何回下りても、三階に着くのよ。

彼は、この階段を下りるのをあきらめて、目の前の廊下を歩くことにしたの。
向こうの端にある階段から、帰ることにしたのよ。

まっすぐ伸びた長い廊下は、夜歩くと本当に怖いもの。
明かりがまばらにしかないから、自然と足が遅くなるの。
気持ちでは焦って早く歩いているつもりでも、なぜか遅くなってしまうのよ。

「おかしいな」
彼は、ふと呟いたの。
なぜか、いつもより廊下が長い気がしたから。

いつもなら、もうとっくに端について、階段を下りているはず。
それなのに、いつまでたっても廊下が終わらない。
歩いても歩いても、先に階段が見えているのに、近づかないの。
これは変だと思って振り返ると……。

自分が歩いてきた痕跡は確かにあったの。
歩いたと思われるほどの廊下を確かに進んでいた。

変だなと思って、もう一度前を見ると、目の前にも長い廊下が続いている。
「こんなに長い廊下だったかな」
彼は、首を傾げたわ。
夜の学校なんて歩くのは初めてだったから、距離感がつかめないのかもしれない。
そうも思ってみた。

けれど、何となく気味が悪くもあったわ。
どうする?
このまま、廊下を進んでみる?
1.このまま廊下を進んでみる
2.元いた場所に引き返す