学校であった怖い話
>三話目(荒井昭二)
>C4

彼にとって、気に入らない生徒は、これといっていませんでした。
誰とでも、それなりにうまくやっていましたし、基本的に人を嫌いになれない性格でしたから。
それで、考えました。

どんな学校でも不良というのはいるものです。
自分たちの学校でも、不良の被害にあった生徒はたくさんいました。
もし、不良の一人を屋上から突き落としたら、彼が死んだとしても喜ぶ人のほうが多いはずだ。

相沢さんは、そう自分に言い聞かせました。
自分がこれから行おうとしていることを、少しでも正当化しようと言い聞かせたんです。
ターゲットは決まりました。
不良グループの一人の、桑畑達也でした。

彼は、急いで計画を練ると、それをすぐ実行に移しました。
一日も早く実行したくて、たまらなかったのです。
不良を呼び出すのは簡単でした。
お金を払うから、痛めつけてほしい奴がいると伝えたのです。
桑畑は、すぐ話に乗ってきました。
……もうすぐ、屋上から突き落とされるとも知らずに。

そして、屋上にやってきた桑畑の隙を見て、あらかじめ用意しておいたクロロホルムを嗅がせたのです。
桑畑は抵抗する間もなく、すぐにぐったりしました。
相沢さんは、もうすぐ自分の望みがかなうことに胸を打ち震わせながら、桑畑の身体をずるずると屋上の縁へと運んでいきました。

屋上には柵がありましたが、たいした高さではありません。
そして、桑畑を担ぐと、柵から身を乗り出して下を覗き込みました。

たかが地上十数メートルの高さといえど目がクラクラするものです。
改めてその場に直面し、相沢さんは一瞬、ためらいを感じました。
本当にこのまま実行に移してしまっていいのだろうか?
1.桑畑を落とす
2.思いとどまる
3.やっぱり自分が落ちる