学校であった怖い話
>三話目(荒井昭二)
>E12
「そう言えば、会えるんですね?」
僕は、問い返した。
荒井さんの目は、どこか遠くを見ているような目だった。
まだ話をしていない三人は、黙って僕と荒井さんのやり取りを見つめていた。
「荒井さん。一つ聞いていいでしょうか?
この学校には何がいるんです?
みんなは、何に取りつかれていると言いたいんですか?」
荒井さんは、ニッコリと微笑んだ。
「言ってくださいよ、あの言葉を。そうすれば、わかるかもしれませんよ」
確かに、この学校には何かがいる。
それは僕も感じていることなのだ。
僕は、荒井さんの言葉に頷いた。
そして、……言った。
「……相沢さん。実験を始めましょうよ!」
その瞬間だった。
「相沢さんだ!
ほら、相沢さん!」
僕の隣で、柵に手を掛けていた荒井さんが、突然空中を指さすと、そのまま柵を乗り越えてしまった。
「危ないっ!」
僕が手を伸ばすよりも早く、荒井さんの身体は宙に舞った。
そして、地上に向かって急降下していくと…。
…突然、姿を消してしまったのだ。
まるで、粒子が分解して、そのまま空気に溶け込んでしまうかのように跡形もなく消えてしまったのだ。
僕は、茫然としたまま、ゆっくりと空を見上げた。
「あ!」
空には、空を覆いつくすほどの大きなドクロが浮かんでいた。
それが、荒井さんが指さしたものなのだろうか?
「……あれが、相沢さん?」
ドクロは、一瞬のうちに消えた。
いつの間にか残された三人が、僕の周りに集まってきた。
「どうする? 三人も消えちまったぜ。まだ話を続けるのか?」
一人が、言った。
どうしよう。
こんなことになるなんて、思ってもみなかった。
今なら、まだ引き返せるかもしれない。
このまま続けていけば、もっと深みにはまってしまいそうな……。
そんな気がしてならない。
今、僕の周りで起こっていることは、現実なのか……。
それとも幻影なのか……。
はたして、このまま続けていいものだろうか?
1.続ける
2.やめる