学校であった怖い話
>三話目(荒井昭二)
>P6

いいえ、桑畑は確かに死んでいたのです。
次の日、学校に行くと桑畑の噂でもちきりでした。
自殺したということで、彼の死は解決していました。
もともと、生活面で問題のあった桑畑ですから、原因は深く追求されませんでした。
それからしばらくの間は、相沢さん

も壮快な学園生活を送ることができました。

……でも、それはほんの一時のことでした。
時間が経つにつれ、また問題が生じたのです。
ひょっとして、あのとき、桑畑は意識をなくしていたから死んだのかもしれない。

クロロホルムを嗅がさなかったら、もしかすると死ななかったかも……?
そう思うと、また確かめずにはいられなくなったんです。

なあに、不良はまだいっぱいいる。
あと二、三人突き落としても、誰も困らないさ。
そんなことをニヤけながら考える相沢さんに、もはや罪の意識などは微塵もありませんでした。

次の日、二人目の実験が行われました。
今度は、呼びつけた不良を、後ろからバットで殴り、弱ったところを突き落としたのです。

「……やっぱりだ。また、死んでる」
今度は、頭が割れ、内容物が飛び出し、死んだことが一目でわかりました。
そして、学校側もまた自殺ということで片付けたのです。
それでも、満足感を得られたのは、ほんの一瞬でした。

今度は、バットで殴ったのが原因で死んだのかもしれない。
そう思うと、別の方法を確かめずにはいられなくなったのです。
そして、また実行しました。

今度は、クロロホルムで眠らせたあと、手足を縛り、起きるのを待ってから突き落としました。
「……また、死んだ。やっぱり、死ぬんだな」
今度こそ、満足を得られる。
相沢さんは、そう確信しました。
しかし、満足は得られなかったのです。

あれは、たまたまかもしれない。
本当は、死なないのかもしれない。
人間が、そう簡単に死ぬはずはない。
そう思うと、また実験を行いたくて、いてもたってもいられなくなりました。

しかし、学校側としても不良の自殺が三度も続くと、さすがに黙っているわけにはいきません。
不良同士の抗争が起こっているのか、それとも何か別の問題が起こっているのか、警察の調査も厳しくなりました。
そして、手始めの対策として屋上の出入りが禁止されました。

そうなると、相沢さんの欲望はさらに跳ね上がります。
夜中の学校に忍び込んででも、何とかもう一度実験を行いたくてたまらなくなりました。

しかし、不良たちも脅えているのか相沢さんがどんなにうまく口説こうが、話に乗ってこようとはしませんでした。
牙を抜かれた狼は、小犬のようにすっかりおとなしくなってしまったのです。

それが、さらに欲望の炎を燃え上がらせます。
そして、ついに相沢さんは仲のよい友達をその毒牙にかけようと考えたのです。

「……相談があるんだ。悪いけど、聞いてくれないか」
そういって、友達の一人を夜中の公園におびき出しました。
問題は、そのあとの手段です。
1.クロロホルムを嗅がせる
2.バットで殴りつける
3.首を絞めて、その場で殺してしまう