学校であった怖い話
>三話目(細田友晴)
>A4

ええっ?
こんな話を信じるなんて……。
君ってどういう性格してるんだい。
まあいいか。
確かに、竹内さんはトイレにいかない人だったからね。
僕は、その秘訣が何なのか、知りたくてたまらなかった。
そこで、彼を観察することにしたんだ。

まずは、噂の真偽を確かめる必要があった。
僕は、一日中彼のあとをつけたよ。
その日は朝一番に登校し、友達を待つふりをして、校門に張り込んだ。
そこで竹内さんが来るのを確認し三メートル以上近付かないようにしてあとをつけていったんだ。

彼の教室は一階だったから、休み時間は外の窓から覗きこんだよ。
もちろん、窓からなるべく顔をださないようにしてね。
……でも僕は、二つの失敗をしでかしてしまった。
一つは、授業中の張り込みを行わなかったこと。
僕は、うっかりしていた。

休み時間に始終張り込んでいても、彼が授業中抜け出してトイレに行っていたら、確かな情報は得られないだろう?
僕は、放課後になってからそのことに気付いたんだ。
ショックだったよ。
この僕がそんなミスをおかすなんてね。

そして、二つめ。
竹内さんにばれてしまったんだよ。
僕の張り込みが。
……どうしてなんだろう。
目立たないよう気を付けていたのに。
誰かが僕を見ていて、竹内さんに教えたんだろうか。

謎は深まるばかりさ。
竹内さんは、こういったよ。
「何で僕のあとをつける?
一体、何を企んでいるんだ?」
僕は非常にあせったね。

相手は三年。女子の注目もあびている有名人だよ。
その人が、怖い顔をして問いつめてきたんだから。

そこで僕は、とっさに変なことをいってしまったんだ。
……なんていったと思う?
1.今日はいい天気ですね
2.リルケの詩を口ずさんだ
3.トイレにいきませんか?