学校であった怖い話
>三話目(細田友晴)
>A6

別に断る理由はないしね。
それに、竹内さんが悪い人だなんて思えないしさ。
どうして僕を誘ってくれるのかはわからないけれど僕は答えたんだ。
「あ、ぜひ行かせていただきます」

僕は、知らなかったんだけれどね。
竹内さんのお父さんて、旅客機のパイロットなんだよ。
お母さんは、詩やエッセイを書いてる有名な先生なんだってさ。
残念ながら、僕は名前を知らなかったけどね。
まるで、絵に描いたような家族だよね。

一般人には理解できないっていうのかな。
ちょっと想像できないでしょ?
それで、家も大きくてさ。
ああいうのを、御殿ていうのかもしれないよな。

僕は、門の前で止まってしまって、しばらく動けなかったもの。
そんな人が僕を誘うなんて、いよいよもって不思議だろ?
僕は、ほとんど竹内さんに言われるがまま、ついていった。
中もすごかったよ。

外国のホテルはあんな感じなんじゃないか?
まあ、見たことないからわからないけど。
「気楽にしてくれよ。別に気を使うことないからさ。遠慮しないでね」

笑いながらそう言ってくれたんだけれど、……そう言われてもねえ。
完全に、住む世界が違ったな。
本当に、見るもの触るものが初めての世界だった。

間もなく僕は、竹内さんの部屋に通された。
こんなこと言うのは恥ずかしい話だけれど、竹内さんの部屋だけで、僕の家の広さぐらいあったような気がする。
まあ大げさかもしれないけれど、それぐらい広く感じたってことさ。
「何か飲む?」

きょろきょろ部屋を見回している僕に、竹内さんはそういった。
どうしよう。
1.コーヒー
2.ジュース
3.お茶
4.何も飲まない