学校であった怖い話
>三話目(細田友晴)
>G6

「あ、あの、ご遠慮します」
僕は、おどおどしながら答えたよ。
すると竹内さんは、少し残念そうな顔をして、どこかに行ってしまったんだ。

後で僕は、やっぱり行けばよかったかなって思ったよ。
竹内さんが、この僕を誘ってくれたんだからさ。
それで次の日、彼のクラスに行ってみた。
彼のクラスは一階にあったからね、体育の帰りに、窓から覗きこんだんだ。

竹内さんは、いなかったよ。
しょうがないから、その日の放課後にもう一回会いに行ったんだ。
その時、ちょうど竹内さんが教室から出てきてね。
彼は、廊下を走って向こうの方に行ってしまったんだ。
僕は、とっさに後を追ったよ。

すると、竹内さんは旧校舎に向かっていったんだ。
何で、旧校舎になんかに行くんだろう?
僕は彼の不信な行動が気になってね、そのままついていったんだよ。
すると彼は、まっすぐトイレに向かっていった。

なぜ彼が、旧校舎のトイレに?
彼は、トイレに行かない男ではなかったのか?
謎はふかまるばかりだった。
僕は、トイレ入口のドアを少し開け、中を覗いてみた。

すると、竹内さんがトイレの個室に入っていくのが見えたんだ。
なんだ、竹内さんだってトイレにいくんじゃないか。
彼は、いつも旧校舎のトイレを使用していたんだろうか。
だからみんなは、彼がトイレにいくのを見たことがなかったのかな、なんて思ったよ。

でもなんで、旧校舎のトイレを使うんだ?
そのころも、旧校舎は立入禁止になっていたんだよ。
僕がそんなことを考えていると、竹内さんが個室から出てきた。
その時、個室のドアの隙間から見えたのは……。

植物だった。
いや、植物っていっていいんだろうか。
旧校舎のトイレは汲み取り式だろう?
便器から、男の顔がついた大きな植物が生えていたんだよ。

そいつは全身緑色でね、ところどころに赤いまだらの斑点がついていたんだ。
本体には横縞のしわが何本もできていて、ぶよぶよとした感じだったな。
そいつの根っこは、便器の外にまで出ていたよ。
太い二本の根っこに、細い根っこが何本も生えていた。

それが、人間の足のような形をしているんだよ。
それから、顔の下に腕のような形の枝が生えていたんだ。
そして、その植物は……。

竹内さんと、同じ顔をしていたのさ。
竹内さんは、トイレであの植物を育てていたのか?
これが、彼の秘密なんだろうか?

竹内さんの顔をした植物は、しゅるしゅると便器の中にひっこんでいった。
そいつはとても、しなやかに動いていたよ。
僕は、急いでその場を逃げ出した。
見てはいけないものを見てしまった。
そう思って、心臓が破裂しそうだったよ。

僕は旧校舎の廊下を、一気に出口まで走りぬけた。
すごく、息が苦しかったよ。
でも僕は逃げれたんだ。
裏庭の脇を走り、新校舎の近くまで来ると、下校する生徒がちらほらと見えた。
ここまでくれば、大丈夫。

……と、その時だよ。
安心したら、何だかトイレにいきたくなってしまったんだ。
僕は、どうしたと思う?
1.新校舎のトイレに入った
2.さっきの旧校舎のトイレにいった