学校であった怖い話
>三話目(細田友晴)
>I6
「今日は、用事があるんです。又、別の日にしていただけますか?」
「そうか、じゃあいつがいい?」
竹内さんは、優しく聞いてきた。
僕達は、彼の家に行く日取りを決めたよ。
そして、その日はやってきた。
僕は、知らなかったんだけれどね。
竹内さんのお父さんて、旅客機のパイロットなんだよ。
お母さんは、詩やエッセイを書いてる有名な先生なんだってさ。
残念ながら、僕は名前を知らなかったけどね。
まるで、絵に描いたような家族だよね。
一般人には理解できないっていうのかな。
ちょっと想像できないでしょ?
それで、家も大きくてさ。
ああいうのを、御殿ていうのかもしれないよな。
僕は、門の前で止まってしまって、しばらく動けなかったもの。
そんな人が僕を誘うなんて、いよいよもって不思議だろ?
僕は、ほとんど竹内さんに言われるがまま、ついていった。
中もすごかったよ。
外国のホテルはあんな感じなんじゃないか?
まあ、見たことないからわからないけど。
「気楽にしてくれよ。別に気を使うことないからさ。遠慮しないでね」
笑いながらそう言ってくれたんだけれど、……そう言われてもねえ。
完全に、住む世界が違ったな。
本当に、見るもの触るものが初めての世界だった。
間もなく僕は、竹内さんの部屋に通された。
こんなこと言うのは恥ずかしい話だけれど、竹内さんの部屋だけで、僕の家の広さぐらいあったような気がする。
まあ大げさかもしれないけれど、それぐらい広く感じたってことさ。
「何か飲む?」
きょろきょろ部屋を見回している僕に、竹内さんはそういった。
どうしよう。
1.コーヒー
2.ジュース
3.お茶
4.何も飲まない